Ken Nakagawa
Posted by Ken Nakagawa
on 2021/03/30 11:07:52

TikTokの多言語ローカライズ戦略の舞台裏

急激な成長を遂げ、社会的な現象にもなっているショート動画投稿アプリ、TikTok。

爆発的な人気の一方で、TikTokチームがどのような製品開発を経て、世界150カ国で存在感を示すようになったかについては、それほど語られていません。

本記事では、そんなTikTokアプリの知られざる多言語ローカライズの舞台裏をご紹介します。

驚異的な成長の裏側に

2017年のリリース開始時からすぐに、TikTokは人気のアプリとなりました。2018年に8億回を超えたダウンロード数は、わずか数年後には26億回ダウンロードという爆発的成長を遂げています。

TikTokの驚異的な成長の裏側には、以下の3つの要因が挙げられます。

インフルエンサーとの関係構築や定期的な「ハッシュタグチャレンジ」の実施といったマーケティング戦略

トレンドに敏感であること、そして新しい流行を作り出す「トレンドセッター」であること

  ・多言語ローカライズ戦略(TikTokは世界150カ国、75言語で展開)

以下では、TikTokチームがいかにして世界へ展開していったかを製品のローカライズという視点から見ていきたいと思います。

「グローバル化は必須条件」という創業者のビジョン

TikTok運営会社の創業者である張一鳴(Zhang Yiming)氏は、自社の運営に際し、常にグローバルなビジョンを掲げてきました。

「中国には世界のネットユーザーの5分の1しかいません。グローバル化は必須です」と、同氏はKrASIAのインタビューで答えています。

このグローバルな野望を支えてきたのが、同社の最新テクノロジーです。例えば、会社創業初期にリリースされた製品の1つである、無料のニュースアプリ「Jinri Toutiao(今日頭条)」。

ニュースアグリゲーターであるこのアプリには、深層学習アルゴリズムが使われており、ユーザーの嗜好に応じてパーソナライズドされたニュースが提供される仕組みです。

このアプリも海外展開で成功を収め、この時の経験と技術は以後のアプリプロダクトにも採用されています。

アプリを75ヶ国語にローカライズした理由は?

TikTokのインターフェースはシンプルであるため、ローカライズはそれほど重要ではないと思われるかもしれません。その上、75ヶ国語にローカライズする必要があるのかと。

しかしTikTokチームは、シームレスなユーザー体験を目指しており、これを達成する上でローカライズは重要な役割を果たしました。

TikTok2018年からAlconostのローカライズサービスを利用しています。ドイツ語、スペイン語、ロシア語、アラビア語といった話者数の多い言語に加え、アフリカーンス語、タガログ語などにもローカライズを行なっています。

なぜメジャーではない言語も含めローカライズを行なったのか。海外展開時においては、話者数やマーケットが大きい言語にローカライズする方が良いのでは?と思う方もいるでしょう。

しかし、話者数が少ないマイナー言語を中心に、数十ヶ国語にローカライズすることで、競合性の低いマーケットでより多くのユーザーを獲得し、業界のトップになることで、成功しているアプリの事例もあります。

2019年にTikTokAlconostは、多言語へのローカライズを本格化させるため、ローカライズプロセスの改善に取り組みました。

アプリ解析サービスを提供するApptraceが発表しているアプリグローバルランキングによると、TikTokはそれまでは100位以下だったのが、20192月には20位にランクイン。さらにその後も順調な成長を遂げています。

Yellow Birthday Party Blog Banner-Mar-23-2021-09-41-51-86-AMTikTokのグローバルランキング推移(出典: Apptrace

TikTokへのローカライズソリューション

TikTokアプリでは頻繁にアップデートが発生するため、アップデートコンテンツを多言語へいかに素早くローカライズしていくかが課題でした。そうした課題へのAlconostによるソリューションが、アップデート毎に迅速にローカライズを行う「継続的なローカライズ」でした。

TikTokチームとAlconostが過去2年間で行ってきたのが、高い質の翻訳を担保しつつ、迅速にローカライズを行うプロセス確立です。

プロセスのために使用したのが、「Crowdinと呼ばれるローカライズツールです。このツールでは、翻訳対象のテキストを自動でツールにアップロードし、製品にエクスポートする機能が備わっています。

ローカライズ作業においては、単純にテキストの翻訳を行うだけではなく、アプリ上での見栄えや前後の文脈を考慮した上で、翻訳しなければなりません。

Crowdin上であれば、アプリのスクリーンショットを添付したり、チャットで気軽に翻訳者とやりとりができるため、前後の文脈やどこにテキストが反映されるのか、といった情報を翻訳者が確実かつ迅速に把握できます。

そうすることで、高い品質の翻訳をスピーディーに提供することが可能になります。

TikTokチームは、ローカライズの品質を非常に重視していたため、翻訳されたすべてのテキストは、校正を行なった上で公開されました。

また翻訳対象のテキストは15万語以上あり、アップデートも頻繁に発生するため、アプリ内における翻訳コンテンツの統一感も重要でした。

ここでは、頻出単語を集めた用語集や翻訳メモリと言った機能を活用することで、追加のコンテンツを翻訳する際にも、一貫性のある翻訳に仕上げています。

「週1の頻度でアップデートコンテンツを公開しているため、ローカライズ作業には非常に短いリードタイムでの対応が要求されます。 またローカライズには高い品質を求めているため、ベンダーには高水準のパフォーマンスが求められます。時には納期が24時間以内という場合もあり、こうした締め切りと品質要件を満たすことのできるAlconostのサービスには満足しています」

TikTokローカライズ部門責任者 Dong Ming氏

 

2-Feb-04-2021-03-36-10-73-PM

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