Seiwa Nishida
Posted by Seiwa Nishida
on 2022/03/01 22:00:00

「デジタルとアナログをうまく融合させた翻訳プロセス」対応言語の広さとアプリローカライズの専門性が決め手に

農薬の研究開発から製造、販売までを行う農薬専業メーカーで、日本だけでなく世界中の農業に貢献している日本農薬株式会社。スマホで写真をとるだけで農作物の病気や虫を診断できるスマホアプリ、「レイミーのAI病害虫雑草診断」を、2020年に日本でローンチしました。その後、インドやベトナムといった広い地域を対象にアプリを普及させるため、Alconostのアプリローカライズサービスをご利用いただいています。

アプリローカライズの目的やそのプロセス、ビジネスにもたらすインパクトについて、日本農薬株式会社経営企画部の岡田様にお話を伺いました。



日本農薬株式会社 経営企画部 岡田敦様

ー「レイミーのAI病害虫雑草診断」というアプリについて、まずは教えてください。

農作物に発生する病気、虫、雑草をスマホで写真をとるだけで、診断することができる防除支援ツールという位置付けで開発しました。

農作物の異常を診断して、その異常の原因となる病気、害虫、雑草に関する情報や特徴を見ることができ、解決、予防するためにはどういう薬が必要か、という提示をアプリ上で行います。国内では水稲農家さんが多いので、水稲から始めたんですが、トマトやなす、きゅうり、レタス、キャベツなど今では10以上の作物に対応しています。


レイミーのAI病害虫雑草診断

ーアプリの海外展開はいつ頃から考えていましたか?

アプリは、人を介さずとも情報のやりとりが行えるので、日本だけに特化したアプリにすべきではない、というのが当初からありました。アプリで一定の診断レベルに達したあかつきには、日本だけでなく、海外でも使えるようにしたいという思いがありました。


社内のリソースだけではクオリティが担保できない

ー今回ローカライズした言語について教えてください。

インド、ベトナム、台湾に現地の事業所があるので、今回対応していただいたのは、ヒンディー語、ベトナム語、繁体字、英語です。

ー現地事務所のリソースではなく、外部のローカライズサービスを利用した理由というのは?

純粋にタスクとして重いなと思いました。普段の仕事をしている人たちに、翻訳を頼むとなると、結構な人工(にんく)ががかかるじゃないですか。それと、複数の人がそれぞれの観念で翻訳した場合、クオリティが担保できない、という理由もありました。

あと、日本語とベトナム語の両方を話せる人は、意外と少ない。英語からベトナム語であれば、多少はいるかもしれないですけど。それでも専門用語を含め、満足に英語を理解できるかというと、少し怪しい。人的リソースが主な理由でしたね。

“人”が翻訳するという点に魅力を感じて

ーサービス導入を決定した理由を教えてください。

対応言語の広さと、アプリケーションの多言語化を得意にしている会社を探していました。対応言語の漏れがあると、違う組織に頼まなければならないので、一貫して1つの会社で対応できるのがポイントだと思いましたね。Alconostは、対応言語の多さや翻訳者がクラウドツール上でつながっている点など、他社が持っていない能力を持っている会社、というイメージがありました。

日本農薬株式会社 経営企画部 岡田敦様

ー最近では機械翻訳や自社で管理できるローカライズツールもありますが。

なるべく多言語化を素早くしたいというニーズに対して、提供しているプラットフォームというのは大体英語がメインだったりしますよね。そうしたツールを使いこなすのは、言語の壁もあり難しいというのがありました。よく分からないということで、私も含め多くの人が、尻込みしちゃうんですよね。

リアルタイムでの翻訳ができれば、機械翻訳はいいと思います。SNS上で、ベトナムの方とインドの方が農作物や農業に関する情報を、リアルタイムで交換できるようになれば、素敵じゃないですか。そういう部分は、機械翻訳の特性とマッチするのかなと。

ーアプリのローカライズで重視していたポイントは?

ローカライズを丸ごと依頼できれば、楽なんですけが、コスト的に重たくなってしまう。我々のアプリのサイズ感で、サービスを切り分けることはできないか、ということで相談させていただきました。結果的には、ローカライズの中にある翻訳サービスを切り出していただく形となりました。

ー今回はコスト面を踏まえ、英語以外に関しては間接翻訳を提案させていただきましたが、いかがでしたか?

日本語からベトナム語のように、ダイレクトな翻訳だと割高になってしまうため、まずは英語に翻訳して、目的の言語にローカライズしようという流れになりました。ただ、間接翻訳*1に関して、正直なところ不安はありました。

レイミーのアプリにはファンタジックな要素はないため、雰囲気が壊れるといった心配はなかったものの、依然として翻訳されたアウトプットは読めないので、一抹の不安がありました。機械翻訳での間接翻訳は難しいかもしれませんが、人間を介した翻訳であれば信頼がおけるし、安心だと思います。

Alconost 注*1)当社では間接翻訳ではっきりしない表現があった場合、翻訳元の言語に戻り、直接お客様にテキストの意味合いを確認する作業を行なっています。

日本農薬株式会社 経営企画部 岡田敦様

ーローカライズプロジェクトはどのように進みましたか?

Alconostのプロジェクトマネージャーに、翻訳して欲しいリストを共有して、そのリストに翻訳された言葉が記入されて返ってくる、という感じですね。人間同士のコミュニケーションなので、かなりフレキシビリティがある。ツールなどのデジタルのいい面と、人間同士のアナログな面とが、うまく合わさっているような印象を受けました。

ー韓国語のローカライズも追加で依頼していただきましたが。

グループ会社が韓国にもできまして、韓国は農家さんのマインドや作物が日本と似ているんですよ。なのでアプリの親和性は高いと思うんです。

アプリの他に今後ローカライズを考えているコンテンツはありますか?

アプリのローカライズ後に、プロモーション用動画の字幕についてもAlconostにお願いをしましたが、動画でのアプリ紹介やプロモーションは、今後も強化していきたいと思っています。

あと、今回は翻訳だけだったんですが、初期に説明してもらったような、訳語がアプリやインターフェース上でどう表示されて、おさまりのいい表現になるかをチェックするサービス(LQA*2)にも、個人的には興味がありますね。

Alconost 注*2Linguistic Quality Assuranceの略。言語品質保証を意味する。アプリやゲーム上で文字の表示に違和感がないか、といったインターフェース上での言語表示を、言語のプロの観点から確認を行うサービス。

アプリの言語対応をしてから、真のローカライズが始まる

ーアプリを多言語化して、目に見える効果や成果というのはありましたか。

アプリの多言語化対応を1つの区切り(ゴール)としていまして。アプリの次の展開先の1つとして、インドを考えているのですが、その場合インドにおける病害虫をAIで診断できることが必要となります。

そこで必要になるのが、まず箱であるアプリをインドの人に使用してもらうための言語対応。現地の人に使ってもらって、病害虫の診断がインドの農地でもきちんと診断できるかを確認する必要があります。今回の言語対応をして、ようやく展開市場向けにAIを開発できるステージになったんです。

アプリによっては、アプリの中の言語対応だけで済むものもあれば、我々のアプリのように、アプリの言語対応をしてから、AIの真のローカライズが始まるというパターンもあるんですよ。

翻訳テキストを実装したアプリを、現地の作業員に操作してもらい、この虫での診断精度は弱いね、といった課題をリストアップしていくんです。現在は、インド政府やインド大使館とも連携しつつ、インドにあるグループ会社のメンバーだけでなく現地の農業大学の先生にもお願いして、AI用の写真を集めている段階です。

ー多言語化したアプリの今後の展望について教えてください。

インドに関して言えば、このアプリをインドにおける農業従事者の給料を倍増させることをサポートする、1つのツールになるようにしていきたいと考えています。

インドの農業従事者の給料を上げる1つの方向性として、インドの内資企業と農業関係者が持つ豊富な経験、先進技術の融合によって、人が1人で管理できる農地面積を増やしていくということが考えられます。それをバックアップするエンジンとなるのが、我々のアプリになると思っています。




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