アジアでゲームを展開をするなら、韓国は展開先の国リストに入れておく必要があるでしょう。一方で、韓国のゲーマーは翻訳やローカライズの品質に求めるレベルが高く、適切なアプローチを取らなければ炎上してしまうこともあります。
過去の事例を踏まえつつ、韓国向けのゲームローカライズで注意すべき4つのポイントをまとめてみました。
ローカライズで重要なことの1つに、翻訳先言語のルールや文字サイズを考慮した上で、インターフェイス上で調整をする作業があります。
例えば、漢字はローマ字に比べるとスペースを取るので、英語から日本語や中国語に翻訳する場合には、スペースを取りすぎず、少なすぎずといったことを考えなければなりません。
スペースを取りすぎると、吹き出しやボタンから文字がずれてしまう、もしくはスペースがあまり過ぎてしまう、と言ったことが起こります。
韓国語は日本語と同じく、1文字でローマ字2文字分のスペースを使います。ローマ字を使った言語から韓国語へ翻訳する場合には、この点に注意しましょう。
韓国のゲームプレイヤーにとって、ゲームは単なる娯楽ではなく、一種の社交の場でもあります。
なので、連携プレイを可能にしたり、ゲーム内でギフトやメッセージを友達に送ったり、連絡リストから友達をゲームに追加するといった、ソーシャル機能が好まれます。
カカオとの連携により、韓国市場で大きな成功をおさめたゲームアプリ「キャンディークラッシュ」の例をあげてみましょう。
カカオは日本でいうLINEに似ているのですが、ゲーム配信に関して、カカオはグーグルプレイのようなゲーム配信プラットフォームとして機能しています。実際、カカオはグーグルプレイについで国内第2位のゲーム配信プラットフォームとなっています。
カカオとゲームを連携することで、カカオ内での友達をゲームに簡単に追加できたり、カカオ内で使える限定コラボスタンプを配信するなどして、ゲームは大ヒット作となりました。
ただ覚えておきたいのが、韓国ユーザーの求めるレベルは、非常に高いということ。カカオと連携するからには、アプリやゲームコンテンツが正確に韓国語に翻訳されていることはもちろん、機能面においても、韓国ユーザーにとってスムーズなものでなければなりません。
意外と見落とされがちなのが、画像のローカライズ。韓国ユーザーの求めるレベルを考えると、こうした細部のローカライズも見逃せません。
画像ローカライズの重要性を教えてくれるのが、プレイステーション4で人気RPGゲーム「ペルソナ5」です。
韓国向けにYouTube上でアップされたオープニング映像で、“旭日旗”が映っていると韓国ユーザーから大きな批判を巻き起こしました。
問題のシーンは、登場キャラクターの1人である坂本竜司の靴に描かれていた旭日旗。韓国のネットユーザーからは、「ウヨソナ(右翼+ペルソナ)」じゃないか!という言葉まで飛び出す事態に。
問題となったオープニング映像(YouTube動画より参照)
実は韓国向けのローカライズ時点で、“旭日旗”はすでに削除されていたのですが、YouTube上では、誤ってオリジナルである日本版の動画が流れてしまったのです。
日本では、サブカルチャーの一部として、ヤンキーのヘルメットやバイクにアイコンにもなっている旭日旗。
一方で、特に東アジアでは軍国主義時代の日本を想起させるため、先のような事件が起こってしまったわけです。日本のサブカルチャーやポップカルチャーの一部だと言う弁明は通用しません。
国の歴史や文化が違えば、同じコンテンツでもまったく違う意味合いになるのだと言うことを、この例から学ぶことができます。
翻訳された韓国語自体が問題となった「Darkest Dungeon(ダーケスト・ダンジョン)」というPCゲームの例をあげましょう。 ゲームの中にあった「生得権を主張しろ」というセリフが、韓国語版では「人生を見つけろ」と訳されていました。「生れながらに持つ権利を主張しろ」という意味なのに、「人生を見つけろ」というのでは、意味合いがずいぶんと異なります。
しかも、これは誤訳のたった一例に過ぎず、他にも同様の誤訳が多く見られました。
こうしたずさんな訳語版ゆえに、韓国プレイヤーの怒りを買い、ゲームは大炎上。開発会社は、謝罪を行う結果へと追い込まれました。
ゲーム開発元の会社は「お金をかけて高い品質のローカライズを実現したつもりだったが、このような問題が起こるとは予測していなかった。韓国のゲームユーザーを深く失望させてしまったことをお詫び申し上げたい」といった内容をSteam上で公式に発表しています。
ひとえにローカライズサービスといっても、その品質は様々です。場合によっては、翻訳先の言語が母国語もしくはネイティブレベルではないケースもあります。また前後の文脈を取り違えることで、訳語がずれてしまったりもします。
そうしないためには、ローカライズされたコンテンツを第3者にチェックしてもらう校正や品質保証といったサービスを利用することで、訳語コンテンツを段階的に確認することが重要です。
Alconostのゲームローカライズサービスでは、こうした点から必ず翻訳者は、翻訳先言語を母国語とするネイティブスピーカーが担当しています。また、品質チェックに欠かせない校正や品質保証のサービスも同時に提供することで、高い品質のローカライズを実現しています。
基本的にローカライズにおいて重要なのは、ローカライズ先の文化や慣習をきちんと考慮し、テキストや画像(時には音声も)といったコンテンツを隅々まで翻訳すること。これは展開先の国がどこであっても基本は同じです。
けれども、日本と韓国と言う文脈で見れば、歴史や政治といった要素にも注意してローカライズを行わなければなりません。
こちらが意図しないことでも、ローカライズ先の国では批判の対象になったり、炎上してしまったり。よって、コストを抑えられるからといって質を担保できない有志ベースの翻訳や無料翻訳ツールなどを使った翻訳は避けるべきでしょう。
機械翻訳で翻訳したテキストをネイティブ視点でチェックして欲しい、現状の翻訳プロセスを効率化させたい、など翻訳やローカライズに関するご相談も承っております。以下のお問い合わせフォームよりご連絡ください。