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翻訳者はAIに仕事を奪われるのか?それともChatGPTと友達になれるか?

作成者: Shu Sasaki|2024/06/25 6:10:07

 

生成AIの普及に伴い、翻訳業界ではある議論が過熱しているのはご存じでしょうか。

「AIによる機械翻訳は、プロの言語学者や翻訳サービスのビジネスを脅かすのか?」

この議論について、アルコノストのローカライゼーション エンジニアのデニスと言語学者のメアリーの会話に耳を傾けてみましょう。

メアリー「次々に登場する AI ツールがさらに普及すると、翻訳者が必要ではなくなる可能性があると思う?」

デニス「将来、AI ツールが人間と同じレベルの翻訳ができるようになる可能性は十分あるけど、この 10 年くらいは実現しないと思う。特に、クリエイティブな内容や、翻訳文を読むお客様の細かい好み、ブランドのイメージ、言葉遣いなど原文の意図を正確に伝える翻訳には、引き続きプロの翻訳者が必要でしょう。今、我々が提供しているローカライゼーションサービスでもそれらを一番大事にしているよね。」

メアリー「そうね、確かに技術マニュアルとか法律文書みたいに、決まった構成があるものなら、機械翻訳は使えそうね。でも、AI翻訳はゲームとか、ユーザーが作ったコンテンツとか、広告みたいなクリエイティブな内容にはどれくらい使えるのかな?」

デニス「クリエイティブなコンテンツの翻訳は、確かに難しいね。機械翻訳では人間のように感情を考慮して翻訳するのはまだ課題がある。特に言語と文化的背景を理解していないと人に伝わる翻訳ができないことも多い。だからこそ私たちは、そのギャップを埋めるために、人間の翻訳者が必要なんだ。機械翻訳にすべてを任せるとまだ不自然な仕上がりの翻訳になることが多い。機械翻訳は翻訳を高速でできるので下訳としては優れている。AIに「翻訳しろ」と命令するだけでできちゃうからね。でもその後に必ず人間の翻訳者が確認しないと十分な品質の翻訳にはならない。人が校正をしないと品質に問題が生じる。校正には、文章のスタイル、口調、内容、文化特有のニュアンスを修正するなど、色々な作業が含まれていて、それはMTPE(機械翻訳ポストエディット)とも呼ばれている。」

メアリー「機械翻訳のポストエディット(MTPE)が、ネイティブスピーカーによる翻訳と同じ品質まで高めることができるということ?」

デニス「機械翻訳ポストエディット (MTPE) は、特定の種類のコンテンツ翻訳において、人間の翻訳者のスキルを補完する優れたツールなんだ。翻訳の効率化とコスト削減に貢献してくれる。しかし、我々は機械翻訳が翻訳者の持つ唯一無二 の感性を完全に置き換えることはできないと考えてる。今のところ機械翻訳だけでは、翻訳内容を自然で文化的に適切なものにしたり、慣用的表現を用いたりすることは困難だからね。」

ふたりの会話をまとめると

生成AIを巡っては、たくさんの誤解や噂が飛び交っています。機械翻訳の強みと限界を我々は理解しているので、メリットとデメリットを透明性を持って中立に伝えるという責任があります。

従って、生成AIは選択的に使用されるべきだとお伝えしています。精度の高い翻訳には人間による専門知識の価値は依然として不可欠です。